医学部入試では、多くの大学で小論文が課されています。
数学や理科のように明確な答えがある試験とは違い、小論文は「考え方」や「価値観」を問われる試験です。
しかし、ここで一つ大きな誤解があります。
それは
「小論文は自分の意見を書けばよい」
という考え方です。
もちろん、自分の意見を書くことは重要です。しかし医学部小論文は、単なる感想文ではありません。
医療という社会的責任の大きい分野を志す学生として、
・論理的に考えられるか
・社会問題を多角的に理解できるか
・医師としての倫理観を持っているか
といった点が評価されます。
そのため、書き方を間違えると、内容がどれだけ立派でも評価が下がってしまうことがあります。
逆に言えば、基本的なポイントを押さえるだけで、評価は大きく変わります。
今回は、医学部小論文で絶対に書いてはいけないポイントについて解説します。
① 感情だけで意見を書く
医学部小論文で最も多い失敗が、感情だけで意見を書くことです。
例えば、医療費の問題について次のように書く受験生がいます。
「医療費が高くて困っている人が多いので、医療費は無料にすべきだと思います。」
この文章は、一見すると正しいことを言っているように見えます。
しかし、小論文として見ると問題があります。
それは、論理が示されていないという点です。
医学部小論文では、単に「かわいそうだから」「大変だから」といった感情だけでは評価されません。
重要なのは、
・なぜそれが問題なのか
・その問題はどのような背景で起きているのか
・どのような解決策が考えられるのか
という論理の流れです。
例えば同じテーマでも、次のように書くと論理的になります。
日本では高齢化が進み、医療費の増加が社会問題となっている。一方で、経済的理由により必要な医療を受けられない人がいることも指摘されている。そのため、医療費負担の軽減と医療制度の持続可能性の両立を考える必要がある。
このように、
問題 → 背景 → 解決策
という流れで書くことで、感情ではなく思考に基づいた文章になります。
医学部小論文では、「優しい気持ち」よりも論理的に考える力が評価されることを忘れてはいけません。
② 極端な意見を書く
医療の問題は、非常に複雑です。
そこには多くの利害関係が絡んでいます。
例えば、
・患者
・医師
・病院
・行政
・保険制度
など、さまざまな立場の人が関わっています。
そのため、小論文で極端な意見を書くと評価が下がる可能性があります。
例えば、近年よくテーマになるAI医療について考えてみましょう。
次のような意見は、一見インパクトがあります。
「AIが発達すれば医師は必要なくなる。」
しかし、これは現実的とは言えません。
実際には、AIは医師の仕事を完全に代替するものではなく、診断支援や業務効率化のためのツールとして利用されると考えられています。
そのため、小論文では次のような書き方の方が評価されやすくなります。
AIは画像診断などの分野で医師の判断を補助する可能性がある。一方で、患者とのコミュニケーションや倫理的判断などは人間の医師の役割として残ると考えられる。そのため、AIを医療の補助技術として適切に活用することが重要である。
このように、
一方の意見だけではなく、複数の視点を考える
という姿勢が大切です。
医学部小論文では、強い主張よりも
バランスの取れた思考の方が評価されます。
③ 医療の知識を誤って書く
医学部小論文では、専門的な医学知識が細かく問われることはあまりありません。
例えば、
・細胞の構造
・病気の詳細なメカニズム
・専門的な治療法
といった知識を書く必要は基本的にありません。
しかし、注意しなければならないのは、明らかに誤った知識を書くことです。
例えば次のような内容です。
・日本は医療費がすべて無料
・日本では医師が余っている
・高齢化はあまり問題になっていない
このような内容を書いてしまうと、
「社会問題について理解していない」
と判断される可能性があります。
医学部小論文では、次のようなテーマがよく出題されます。
・高齢化社会
・医師不足
・地域医療
・医療格差
・終末期医療
・AI医療
そのため、ニュースや新聞などを通して、基本的な社会問題の概要は知っておくことが大切です。
ただし、重要なのは知識の量ではありません。
大切なのは、
基本的な事実を踏まえて、自分の考えを論理的に書くこと
なのです。
④ 結論が書かれていない
小論文で意外と多いミスが、結論を書かないまま終わってしまうことです。
途中まで丁寧に議論しているのに、
「結局何が言いたいのか分からない」
という文章になってしまうことがあります。
小論文では、最後に自分の立場を明確に示すことが重要です。
基本的な構成としては、次のような流れが書きやすいでしょう。
問題提起
↓
現状の説明
↓
問題点の分析
↓
解決策の提案
↓
結論
例えば、
以上のことから、医療の発展においてAIを活用することは重要である。しかし、それを適切に運用するためには医師の判断と倫理的配慮が不可欠である。したがって、AIと医師が協力する医療体制を構築することが今後の課題である。
このように、最後に全体をまとめる文章を書くことで、文章の完成度が大きく上がります。
小論文は、「途中までの議論」ではなく、
最終的な結論まで書いて初めて完成する文章なのです。
⑤ 医師としての視点がない
医学部小論文で特に重要なのが、医師としての視点です。
一般的な社会問題の小論文であれば、さまざまな立場から自由に意見を書くことができます。
しかし医学部小論文では、
「将来医師になる人間としてどう考えるか」
という視点が重要になります。
例えば医療問題について書く場合でも、次のような観点を意識することが大切です。
・患者の利益
・医療の公平性
・医療倫理
・社会的責任
例えば医療格差について書く場合でも、
医療資源は限られているため、効率的な配分が必要である。一方で、地域によって医療サービスに差が生じることは患者の利益の観点から問題である。医師として、地域医療の充実に貢献する姿勢が求められる。
このように、医師の立場から問題を考えることが重要です。
最後に、
医師として患者の利益を第一に考える姿勢が重要である。
といった形でまとめると、医学部小論文としての説得力が高まります。
小論文は練習で書けるようになる
小論文は、最初から上手に書けるものではありません。
多くの受験生は、
「何を書けばよいか分からない」
「時間内に書ききれない」
といった悩みを抱えています。
しかし、小論文は訓練によって確実に上達する分野です。
大切なのは、
実際に書いてみる
↓
添削を受ける
↓
書き直す
というサイクルを繰り返すことです。
このプロセスを続けることで、
・論理的な文章の書き方
・医療問題の考え方
・説得力のある結論の出し方
が少しずつ身についていきます。
数学の問題演習と同じように、
小論文にもトレーニングが必要なのです。
医学部小論文は特別な才能が必要な試験ではありません。
正しい書き方を学び、練習を重ねれば、誰でも確実に上達していきます。
受験生の皆さんは、ぜひ今回紹介したポイントを意識しながら、小論文の練習に取り組んでみてください。
小論文対策まつひら塾について
大学受験・小論文対策に特化した【小論文対策まつひら塾】を開校しました。
小論文は、真の国語力を問われるとてもむずかしい試験です。侮ってはいけません。
でも、しっかり対策してコツをつかめば誰でもできるようになります。
【小論文対策まつひら塾】では、小論文が書けるようになるために1から教えていきます。
書き出しはどうするの?文末表現、語尾はどう書くの?句読点の打ち方は?段落分けは?
社会問題に精通するにはどうするか、資料、図表、グラフの素早い読み取り方、反論の予想の仕方などの高度な技術も伝授します。
頻出課題の出題傾向を分析して、豊富な例題を用いて書く訓練をしていき、何より重要なのは添削されたものから、また考え直すという反復練習です。
小論文をドリルのようにこなしていく、という勉強法は、【小論文対策まつひら塾】ならではのものです。
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