みなさん、こんにちは。日本国語塾です。
今回のブログでは推薦入試の小論文の書き方について解説していきます。
推薦入試において、小論文はあなたの個性や考えを表現する重要なステップです。小論文を書くことは、単なる試験対策ではなく、自分自身を見つめ直し、成長するチャンスでもあります。
では、推薦入試で小論文が課される受験生がどんな準備で臨めばよいか、一緒に学んでいきましょう。
1 推薦入試の小論文
指定校推薦は、受けさえすれば合格できるもの。そういった認識があると思います。しかし、何も対策をせずに試験を受けると不合格になることもありえます。指定校推薦で大学合格を目指す場合、小論文の出来不出来が合否に大きく影響します。
「小論文なんて書いたことがないし教えてもらったこともない!」
と不安になる必要はありません。正しい対策の方法や出題傾向を知り、練習を重ねれば、小論文は得点できます。書いた小論文の添削をして、長所を伸ばし、短所をなおせば、必ず効果は出ます。
要するに知らないから不安なだけなのです。この記事では、小論文の出題例や対策方法を詳しくご説明します。
2 どんな種類がある?
①自己PR型
主に志望理由や自己PRを中心に、小論文形式で記述します。高校生としての経験や学びを基に、どのように自分がその学校で学びたいのかを説得力を持って示すことが大切です。自己理解、将来展望、学部との関連性が重要で、感情的にならず、論理的に述べることが求められます。
📝 例題:「あなたが本学を志望した理由と、入学後に取り組みたいことを述べなさい」
②課題文型
短めの文章や資料を読ませて、それに対する考察を書く形式です。現代文のような読解力が求められます。また、批判的思考や要約力も試されます。
📖 よく使われるテーマ:ジェンダー/教育/AIと人間/倫理観など
📝 例題:「以下の文章を読んで、筆者の主張を要約し、あなたの意見を800字以内で述べなさい」
③テーマ型
特定のキーワードやテーマだけが与えられ、それについて自由に論じる形式です。書き手の価値観や論理構成力がストレートに出るのが特徴。
自由度が高い反面、構成力が弱いと散漫になりがちです。
📝 例題:「『責任』という言葉からあなたが考えることを、具体例を交えて述べなさい」
④資料・データ分析型
グラフ・図表・統計などが提示され、それを読み解きながら論じる形式です。データを客観的に読み取る力と、その背景を考察する力が求められます。主に理系・経済系学部でこの形式が使われます。
📝 例題:「このグラフは日本の出生率の推移を示したものである。これをもとに考察を述べよ」
⑤学部・学科特化型
その学部に関連する専門的・時事的テーマが出題されます。例えば医学部なら医療倫理、教育学部なら教育課題など、志望分野の理解が求められます。専門的な知識よりも「問題意識の深さ」や「将来ビジョン」を重視しましょう。
📖 よく使われるテーマ:
医療系:命の重さ、チーム医療、医療格差
教育系:いじめ問題、学力格差、教員の役割
経済系:貧富の格差、グローバル経済と日本の立ち位置
理工系:技術と倫理、AIの進歩と人間の役割
📝 例題
医療系:「延命治療の是非についてあなたの意見を述べなさい」
教育系:「いじめをなくすには学校は何ができるか、あなたの考えを述べなさい」
経済系:「経済格差は社会の活力を奪うのか、あなたの考えを述べよ」
理工系:「技術は倫理に従うべきか」
3 小論文の基本構成(どの型でも共通)
どこから手を付けていいかわかりにくい小論文対策ですが、正しい対策方法があります。その流れに沿って説明します。
小論文は構成が命です。小論文は、作文ではありません。小論文には、必要な構成があります。
①「序論」②「本論」③「結論」という構成です。
①「序論」とは?
序論の役割:読者の興味を引く導入部分
◎テーマの提示
- 何について書くのかを明らかにする。
- 読者が「何の話か」を一読で把握できるようにする。
◎問題意識の表明
- なぜこのテーマが重要なのか、今なぜこの問題を論じるべきなのかを示す。
- 「この問題には背景がある」「今考える価値がある」という意識づけを行う。
◎自分の立場や論点の予告
- 本論で何を述べていくのかをざっくりと示す。
- 明確に主張を書くこともあれば、問題提起にとどめる場合もある。
★よくある構成パターン
① 現代社会に関する一般的な背景紹介
↓
② 問題提起(なぜそのテーマが今問われているか)
↓
③ 自分の論点の予告(これから何を論じるか)
注意点
- 長くなりすぎないこと:全体の1〜2割程度(2000字なら200〜300字程度)。
- 結論を先に書きすぎないこと:序論ではあくまで「入口」にとどめ、詳しい主張は本論で展開する。
- 抽象的すぎないこと:読者がテーマに関心を持てるように、ある程度の具体性や時事性を盛り込む。
②「本論」とは?
本論の役割:具体的なエピソードを交えながら論じることで説得力を高める。
◎自分の主張を明確に伝える
- 「私はこう考える」「このようにすべきだ」と、立場をはっきりさせる。
◎主張を支える理由・根拠を示す
- 客観的なデータ、具体例、比較、経験、理論などを用いて説得力を持たせる。
◎反論や別の立場も意識する(場合による)
- 他の意見に一度触れたうえで、それを乗り越える形で主張を強めることもある。
★よくある本論の構成(型)
パターン①:三段構成(主張→理由→具体例)
① 私は〇〇と考える。(主張)
② なぜなら、△△という理由があるからだ。(理由)
③ たとえば、□□という事例がある。(具体例)
パターン②:論点分割型(段落ごとに論点を分ける)
1段落目:第一の論点とその根拠
2段落目:第二の論点とその根拠
3段落目:補足・反論への対応・全体のまとめへつなぐ
③「結論」とは?
結論の役割:最後に自分の考えをまとめ、再度自分の意見を強調する。
◎主張の再確認
- 論じてきたことを踏まえて、自分の立場や考えを簡潔にもう一度述べる。
◎論文全体のまとめ
- 本論で扱ったポイントを整理し、筋道だった思考を振り返る。
◎未来への視点・提言を加える(場合による)
- 単なるまとめにとどまらず、読者に問題提起や希望を残すことで印象を強める。
★結論の構成パターン
基本パターン(3行程度)
① 本論のまとめ(何を述べてきたか)
② 主張の再提示(だから自分はこう考える)
③ 社会や未来への一言(あれば)※必須ではない
4 小論文を書く際のポイント
小論文を書く際には、いくつかのポイントを注意することで、より良い文章に仕上げることができます。
1)テーマを明確にする
小論文のテーマは、学校や学科によって異なります。まずは、テーマに対する自分の考えを整理し、何を伝えたいのかを明確にしましょう。テーマを理解することで、文章の方向性が決まります。
2)具体的な例を挙げる
自分の意見を裏付けるためには、具体的な経験やエピソードを盛り込むことが重要です。たとえば、部活動やボランティア活動での経験を通じて学んだことを述べると、説得力が増します。
3)論理的な構成を心掛ける
自分の考えを論理的に展開することで、読み手に理解しやすくなります。各段落のつながりを意識し、結論に向かってスムーズに進むような構成を心掛けましょう。
4)文章の表現に工夫を凝らす
同じ内容でも、表現を工夫することで印象が変わります。比喩や具体的な描写を使い、読者の心に響く言葉を選びましょう。
5)何度も推敲する
書き終えたら、必ず見直しを行いましょう。
誤字脱字や文章の流れを確認し、必要に応じて修正を加えます。
5 小論文は何問とけばいいの?
さて、ここでみなさん気になるのが「一体何問の小論文をとけばいいのだろう?」と、いうことではないでしょうか?
ずばり、50問が目安です。
もちろん小論文の力をつけるためには、書きっぱなしでは力がつきません。
伸ばすところ、なおすところをきちんと指摘してもらうことが大切です。
5 推薦入試で出題される小論文の出題例と回答例(テーマ型)
推薦入試の小論文では、大学がその学部・学科に求める「人物像」や「思考力・社会性・表現力」を測るため、以下のようなテーマがよく出題されます。分類ごとに代表的なテーマ例を挙げます。
① コロナウイルス関連
近年、コロナウイルス関連の問題が頻出です。今年は、アフターコロナを意識した問題が多く出題されることが予想されます。
【出題例】コロナウイルスのワクチン接種をしていない人への差別などが問題になっています。ワクチンパスポートの是非を含めて、あなたの考えを述べなさい。
【回答例】
「パスポートと未接種者への差別の是非について考える」
新型コロナウイルスの流行は、私たちの生活に大きな影響を与えた。人との接触を避ける生活、オンライン授業やテレワーク、外出自粛や医療のひっ迫など、感染症が社会のあり方そのものを問い直す機会となった。そのような中、感染予防の手段として登場したのが「ワクチン」であり、多くの国や地域でワクチン接種が推進された。さらに、接種の有無を証明する「ワクチンパスポート」の導入が議論され、一定の施設やイベントの入場条件にする動きも見られた。だが同時に、ワクチンを接種していない人に対する差別や偏見が社会問題として浮上している。ワクチンパスポートは本当に必要なのか、また未接種者への扱いはどうあるべきか、私はこの問題を「公衆衛生」と「人権」のバランスという視点から考えたい。
まず、ワクチンパスポートの目的は感染拡大を防ぐことである。感染症対策において、集団免疫を形成することは重要であり、多くの人がワクチンを接種することで、社会全体として感染リスクを下げることができる。ワクチンパスポートによって、接種済みの人を明確にし、その人たちに限って行動を緩和すれば、経済活動の再開やイベント開催が円滑に進むという利点がある。実際、海外旅行や大型イベントでは接種証明が求められる場面もあり、公共の安全を守る手段として、一定の合理性がある。
しかし一方で、ワクチン接種を望まない、あるいは望んでも受けられない人々も存在する。医学的な理由(アレルギーや持病など)によって接種が困難な人や、個人的な信条・宗教的理由によって接種を控える人も少なくない。そうした人々が、ワクチンパスポートの導入によって社会的に不利益を被るとすれば、それは「選択の自由」に対する侵害であり、ひいては差別につながる可能性がある。たとえば、接種をしていないというだけで入店を拒否されたり、職場での昇進に不利に扱われたりするような状況が現実に起きている。これは、個人の判断を尊重すべき民主社会において看過できない問題である。
さらに、ワクチン接種の有無だけで人の安全性を判断することの限界も考慮すべきである。ワクチンは感染を完全に防ぐものではなく、接種済みであっても感染する「ブレイクスルー感染」の例は多く報告されている。また、ワクチンの効果は時間とともに減少し、新たな変異株に対しては効果が限定的な場合もある。つまり、「接種したか否か」という情報だけでは、その人が安全かどうかを正確に判断することはできない。ワクチンパスポートが「安心の証明」として過信されることは、むしろ新たな感染リスクを生む危険性がある。
このように、ワクチンパスポートには感染防止の観点から一定の合理性がある一方で、個人の選択を制限し、差別を生む危険も併せ持っている。だからこそ、私はワクチンパスポートの運用に際しては「限定的かつ慎重であるべき」と考える。たとえば、医療機関や高齢者施設など、感染が拡大すると命に関わる現場においては、接種証明の提示を求めることは妥当であろう。しかし、日常の買い物や公共交通機関の利用にまでそれを広げることには慎重でなければならない。また、接種できない事情を持つ人々への合理的配慮や、定期的な検査による代替手段を認めることで、柔軟かつ公平な制度設計が求められる。
加えて、私たち一人ひとりの意識も問われている。ワクチン接種を「義務」ととらえ、接種していない人を非難する空気は、分断を生むだけでなく、社会の多様性を損なうことになる。感染症対策は社会全体の協力によって成り立つものであり、恐怖や無理解によって誰かを排除するのではなく、対話と共感を通じて乗り越えていく姿勢が大切である。学校やメディアも、正しい情報を発信するだけでなく、偏見を助長しないような配慮が求められる。
結局のところ、ワクチンも、パスポート制度も、すべては「人を守るため」にある。もしそれが人を分断し、排除するための道具になってしまうのだとすれば、本末転倒である。私たちは、科学的な知見に基づきながらも、人間らしさや社会的な公正を忘れないバランス感覚を持ち続ける必要がある。感染症の流行という未曾有の危機に際してこそ、私たちの社会が持つべき倫理観と包摂性が試されているのではないだろうか。
② 環境問題
環境問題は、小論文には必出テーマです。色々な角度から書くことができるように準備しておきましょう。
【出題例】コロナ禍による企業活動の減少などによるCO2排出の減少で、社会環境に肯定的な影響も出ています。今後、持続可能な社会の実現のために必要なことを述べなさい。
【回答例】
「持続可能な社会の実現に向けて今後必要なこと」
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、人類の社会活動に深刻な影響をもたらした。経済の停滞、人々の移動制限、企業活動の縮小など、私たちの暮らしは大きく制限された。その一方で、予期せぬ「副産物」として、世界的にCO₂排出量が一時的に減少し、大気汚染が改善されたという報告も相次いだ。皮肉なことに、人間の活動が抑制されたことで自然環境が回復し始めたのである。この事実は、持続可能な社会を実現するうえで、私たちがどのような行動をとるべきかを強く問いかけている。私は、環境と経済のバランスを見直すこと、個人の生活様式の改革、そして技術と制度の活用という三つの視点から、この問題を考えたい。
まず第一に、経済活動と環境保全の両立を目指す視点が必要である。これまでの社会は「経済成長=善」という価値観のもとで、エネルギーを大量に消費し、CO₂を排出しながら発展してきた。しかし、その結果として地球温暖化や異常気象、生態系の破壊といった環境問題が深刻化している。コロナ禍によって一時的にCO₂の排出量が減少したことは、経済活動が環境に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにした。持続可能な社会とは、経済の利益だけでなく、環境への配慮をも組み込んだバランスの取れた社会であるべきだ。再生可能エネルギーの導入、廃棄物のリサイクル、地産地消の推進など、自然への負荷を抑えながらも、持続可能な経済活動を行う仕組みが求められている。
次に、個人レベルでのライフスタイルの見直しも重要である。コロナ禍では、多くの人々が在宅勤務やオンライン授業、地元での買い物といった新しい生活様式を経験した。これにより通勤・通学に伴う移動が減り、交通機関によるCO₂排出も一部削減された。これは、人々の行動の選択次第で社会全体の環境負荷を大きく変えられることを示している。今後は、不要不急の移動を控える、電気や水道をこまめに節約する、エコバッグやマイボトルを使うといった、日常の中でできる小さな取り組みが重要になる。こうした意識の変化が広がれば、社会全体としても持続可能性を実現しやすくなるはずである。
三つ目に、科学技術の活用と制度の整備が持続可能な社会の実現には不可欠である。カーボンニュートラルを目指す上で、太陽光発電や水素エネルギー、蓄電池技術の発展が期待されている。また、スマートシティや自動運転車といった新たな都市インフラも、エネルギー効率の向上に貢献するだろう。こうした技術を社会に広く普及させるためには、政府や自治体の支援、企業による投資、そして市民の理解と協力が必要である。また、炭素税や排出量取引制度など、経済的インセンティブを活用して環境負荷の少ない選択を促す政策も有効である。つまり、技術だけでなく、それを支える仕組みの整備もまた、持続可能性の鍵を握っている。
さらに忘れてはならないのは、環境問題は国内だけでなく、国際的な連携が不可欠だという点である。CO₂の排出は国境を越えて地球全体に影響を及ぼすため、一国だけの努力では限界がある。気候変動枠組条約やパリ協定など、国際社会が協調して取り組む仕組みを強化し、先進国と途上国が共に責任を果たす体制を築く必要がある。また、日本も国際的な技術支援や環境教育の分野で積極的な役割を果たすべきであり、「環境先進国」としての道を歩むことが期待される。
コロナ禍は多くの苦しみをもたらしたが、その中で私たちは「人間の活動が自然環境にどれほどの影響を与えていたか」という現実を知ることができた。そしてその気づきを未来へつなげていくためには、社会全体の構造、個人の意識、技術と制度、そして国際協力という多面的な努力が必要である。持続可能な社会とは、単にCO₂を減らすことだけを意味するのではない。人間と自然が共に生き、将来の世代にも健全な地球を引き継ぐことができるような社会のことを指すのである。今この瞬間の選択と行動が、私たちの未来を形作っていくのだ。
③ インターネット関連やAI
インターネットの功罪についての出題も、増加傾向が続いています。
【出題例】なぜ、インターネットでは、極端な意見が多くみられるのか?その理由を考えて述べよ。
【回答例】
「なぜインターネットでは極端な意見が多く見られるのか」
現代社会において、インターネットは情報収集や交流、発信の手段として欠かせない存在となっている。特にSNSや掲示板、動画配信サイトのコメント欄などでは、日々さまざまな意見が飛び交い、多様な価値観がぶつかり合っている。しかし、その中にはしばしば「極端な意見」が目立つ場面もある。冷静で中立的な見解よりも、強い言葉や過激な主張のほうが注目を集めやすく、時には社会的な炎上にまで発展することもある。なぜインターネット空間では、そうした極端な意見が多く見られるのだろうか。本稿では、その理由を主に三つの観点から考察してみたい。
第一に、インターネットの「匿名性」が極端な意見を助長していると考えられる。現実社会においては、発言には責任が伴うため、人々は周囲との関係性や社会的立場を考慮して発言を慎重に選ぶ。しかし、インターネットでは実名を明かす必要がなく、多くの場面で匿名での書き込みが可能である。このことは、普段なら抑制されるような攻撃的・排他的な感情や、極端な思想を自由に表現することを可能にする。また、匿名性がもたらす「責任感の薄さ」は、他人への配慮や思慮深さを欠いた発言につながりやすく、結果として過激な言動があふれやすい土壌を生んでいる。
第二に、「アルゴリズムと可視性の構造」が極端な意見を拡散しやすくしている。SNSなどの多くのプラットフォームでは、ユーザーの関心を引く投稿を優先的に表示する仕組みがとられている。この「エンゲージメント重視型」のアルゴリズムは、感情を強く刺激する投稿――すなわち怒り、恐怖、驚きといった感情を喚起するような極端な意見――をより多くの人に届けてしまう傾向がある。たとえば、冷静で論理的な説明よりも、「許せない!」「○○は全部ダメだ!」というような感情的かつ断定的な言い回しの方が、多くの「いいね」やリツイートを集め、可視性が高まる。このような仕組みの中で、人々は注目を集めるために意図的に過激な表現を選ぶようになり、結果として極端な意見が増殖する構造が生まれているのである。
第三に、「情報の偏りと共鳴」が極端な意見の強化に寄与している。インターネットでは、自分の関心に合った情報だけを選んで受け取ることが容易である。そのため、特定の思想や立場に偏った情報ばかりを見聞きしていると、次第に他の視点を受け入れにくくなり、自分の考えが「正しい」という確信が強まる。この現象は「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」と呼ばれ、同じような意見を持つ人たち同士が集まり、互いに自分たちの主張を補強し合う環境が形成される。結果として、対立する意見への理解が乏しくなり、自分たちの主張を過激に押し通そうとする動きが強まる。異なる立場への寛容さが失われ、極端な意見同士の衝突がエスカレートするのも、このような情報環境による影響である。
このように、インターネット上で極端な意見が多く見られる背景には、匿名性による発言の自由と無責任、感情を煽る投稿が拡散されやすいメディア構造、そして情報の偏りによる思想の先鋭化といった複数の要因が複雑に絡み合っている。もちろん、インターネット自体が悪であるわけではない。むしろ、正しく使えば多様な価値観に触れることができ、世界中の人々と知識や経験を共有することも可能な、非常に有用なツールである。しかし、その力の強さゆえに、私たちは常に「どのように使うか」という姿勢を問われている。
では、極端な意見の拡散を防ぎ、インターネットをより健全な言論空間にするにはどうすればよいのだろうか。一つには、個人一人ひとりが情報リテラシーを身につけることが求められる。ネット上の情報を無批判に受け取るのではなく、その出所や信頼性を見極める力、異なる立場の意見を読み取る姿勢が不可欠である。また、SNSに投稿する際には「自分の発言は他者にどう影響するか」「現実社会で同じことを言えるか」という視点を持つことも重要である。さらに、プラットフォームを提供する企業側も、誤情報や差別的発言の拡散を防ぐ仕組みの強化が求められている。技術と倫理、個人と社会の双方が協力しながら、より良いネット空間を築いていく必要がある。
極端な意見の氾濫は、単にネットの問題にとどまらず、現実社会にも悪影響を与える。分断や不信、対立が深まり、対話や合意形成が困難になるからだ。だからこそ、私たちはネット上の言葉を軽く扱ってはならない。言葉には力があり、その使い方次第で社会の方向性を左右することもある。インターネットの未来をより良いものにするために、私たちは表現の自由を守りながらも、責任ある言論を意識し続けるべきである。
④ 日本文化
グローバル化に伴い、日本文化や日本の伝統について問う小論文も多いです。
【出題例】日本文化の海外発信について、あなたの考えを述べよ。
【回答例】
「日本文化の海外発信についての私の考え」
グローバル化が進む現代において、日本文化を海外に発信することの重要性はますます高まっている。アニメや漫画、和食や着物、茶道や剣道など、日本には独自の伝統や現代文化が数多く存在し、それらは世界中の人々の関心を集めている。私は、日本文化の海外発信は単なる「宣伝」ではなく、国際理解と相互尊重を深めるための手段として、積極的に推進すべきだと考えている。
第一に、日本文化を海外に発信することは、日本という国の理解を深める大きなきっかけとなる。たとえば、海外で人気のあるアニメ『鬼滅の刃』や『千と千尋の神隠し』には、日本人の死生観や自然との共生、家族観といった価値観が色濃く反映されている。こうした文化に触れた外国人が日本に興味を持ち、さらに歴史や社会制度などへの理解を深めていくことは、国際的な対話の土台を築くことにつながる。
第二に、日本文化の海外発信は、経済的にも大きな可能性を秘めている。クールジャパン戦略に見られるように、文化産業を輸出産業と位置づけ、観光や商品販売に結びつけることで、新たなビジネスの創出にもつながる。たとえば和菓子や和紙、伝統工芸品などは、丁寧なものづくりや美的感覚が評価され、海外市場でも高い評価を得ている。こうした文化資源を経済発展の一部とすることは、持続可能な発展の視点からも有効である。
ただし、海外発信にあたっては「正しく伝える」ことが求められる。ステレオタイプなイメージの押し付けや、表面的なブームだけを追う姿勢は、かえって誤解や文化の軽視を招く恐れがある。そのため、文化の背景や意味を丁寧に説明すること、現地の文化との違いに配慮することが重要である。たとえば寿司一つとっても、「魚を生で食べる」という習慣がない地域では、衛生や食文化への理解を得る努力が必要になるだろう。
結局のところ、日本文化の海外発信とは、単に「日本を好きになってもらう」ことが目的なのではない。他者に日本を伝えることを通じて、自国の文化への理解と誇りを深め、同時に他文化への尊重と共感を育むことこそが、本当の意義であると私は考える。これからの時代、日本文化の発信は国際的な交流の架け橋として、大きな役割を果たしていくべきである。
⑤ ジェンダー問題
ジェンダー問題についても最近は社会的関心が高く、よく出題されるテーマの一つです。
【出題例】日本では、「男は社会に出て仕事をし、女は家で家事をする」という考えが根強く残っています。男女の役割について、あなたの意見を述べよ。
【回答例】
「男女の役割について私の意見」
現代の日本社会においても、「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」という考えが、根強く残っている。しかし私は、このような性別による役割分担は、時代遅れであり、個人の自由や可能性を制限する不公平な考え方だと考えている。性別に関係なく、すべての人が自分の意思で生き方を選び、活躍できる社会こそ、真に平等で豊かな社会だと言えるだろう。
まず、現代社会は大きく変化している。共働き世帯は増加し、女性も社会の第一線で活躍する時代になっている。実際、政治家や企業の経営者、研究者、技術者として成果をあげる女性は少なくない。一方で、家事や育児に積極的に関わる男性も増えている。こうした現実が示しているのは、もはや「男は外、女は内」といった固定観念が通用しないという事実である。
また、役割を性別で決めつけることは、個人の能力や希望を無視することにつながる。たとえば、料理が得意な男性や、子育てにやりがいを感じる男性もいれば、研究や営業の仕事に挑戦したい女性もいるだろう。性別を理由にそれらの選択肢を制限してしまえば、本人にとっての幸福だけでなく、社会全体の可能性や創造性も損なわれてしまう。
さらに、このような性別による役割分担の意識は、差別や不平等の原因にもなりうる。たとえば「女性だから管理職に向いていない」「男性なのに家事をするのはおかしい」といった偏見が、今も無意識のうちに人々の間に存在している。これらは、職場や家庭での人間関係に悪影響を及ぼし、時には本人を深く傷つけることもある。
もちろん、家庭に入ることを望む女性や、仕事を最優先にしたい男性の選択を否定するものではない。大切なのは、性別ではなく「個人の意思」でその生き方が選ばれているかどうかという点である。他人の価値観を押しつけるのではなく、多様な選択を尊重する社会こそが、真の意味で平等な社会だと私は思う。
結論として、私は性別による役割の固定化に反対である。男女それぞれが、自分の望む生き方を自由に選び、その選択が尊重される社会を実現することが、これからの日本にとって必要不可欠である。性別に縛られることなく、「人として」何がしたいかを問い続けられる社会こそが、私たちの目指すべき未来であると信じている。
最後に
推薦入試の小論文は、自分自身を表現する貴重な機会です。しっかりとした準備と練習を経て、自分の思いや価値観を魅力的に伝えることができれば、合格の可能性はぐっと高まります。
自分の言葉で、自信を持って書くことを心掛け、挑戦してみてください。また、当塾では小論文専門の授業を行っているので小論文の書き方を直接知りたい方は当塾の門をたたいてみてはいかがですか?
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